Chartettoのブログ

感じたことをだらだらと。

絢辻詞さんスキbest、偉大なる先人達の考察を読んでの感想

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タイトル通りです。絢辻さんのスキbest完走いたしました。つきましてはその所感をダラダラと書き連ねさせて頂きたくこの記事を書いています。至らぬ点はあるでしょうがどうぞよろしく。
そもそも前提としてアマガミのメインヒロインはパッケージも飾っている絢辻さんであろう。絢辻さんをアマガミのメインヒロインたらしめている要素の一つに二面性(まぁ絢辻さんは実際問題三面性とも言える)がある。これは以前より多くの方が言っているがアマガミとは二面性のゲームである。各ヒロインの二面性、ある時は主人公の橘さんの二面性ですらも楽しむゲームである。各キャラそれぞれに二面性はあるのだが絢辻さんはそれが分かりやすい上、彼女のシナリオの根底にあるものとなっている。
また、アマガミはあくまでも恋愛シミュレーションゲームだ。間違ってもノベルゲームではない。ノベルゲーとして購入すると物足りなさを感じるかもしれないというレベルでもある。絢辻さんの大きな問題として彼女の家族がある。彼女プレゼンツのウサギとカメや彼女の独り言から分かる通り、「特になにも意識しなくとも輝いている姉」「エリート意識の強い父」「父のイエスマンとも言える母」そして、「誰にも見て貰えなかった絢辻さん」という構成になっている。アマガミがノベルゲーであれば家族の問題も橘さんと絢辻さんが力を合わせて解決しただろう。しかし、先述したとおりアマガミ恋愛シミュレーションゲームである。よってこの家族の問題は一般的に1番良いといえるスキbestにおいても、またその他ナカヨシend等も含めて完全には解決しない。そもそも橘さんは絢辻さんの家族とは全く絡まない。絢辻さんの姉を一度か二度目にはするが言ってしまえばそれだけだ。この人によっては薄いとまで捉えられるシナリオであるが、アマガミ恋愛シミュレーションゲームであるのならむしろこれが正しい。これが普通の高校生の恋愛である。そもそも各所で言われているが絢辻さんの家族関係はそこまで珍しいものだろうか。必ずしもそうとは言えないのではないか?キツイ言い方をするならどこでもある程度見られる、それこそ現実世界でも考えられる家族関係である。しかし、このある意味ありきたりとも言える家族に悩む彼女もまたありきたりなのだ。また、絢辻さんの一彼氏である橘さんもこのありきたりな家族関係すら解決しない。特別なことなんてシナリオに大きく関わる部分で起きない(橘さんの各種行動が普通かは置いておいて)。それがアマガミというゲームとその登場人物の現実感を引き立てている。
長々とアマガミというゲームについて語ってしまったがそろそろ本題に入りたい。絢辻さんスキbestの結末とその過程に対する感想だ。最初こそ、絢辻さんはクラスの委員長で、誰もやりたがらないクリスマス会の実行委員に自ら立候補する優等生として描かれる。それからも優等生の彼女が描かれ続けるのだが(空き缶の話など裏の顔の片鱗は出ているが…)そこで転機が訪れる。橘さんが教室に落ちていた手帳を拾うのだ。橘さんは持ち主に返そうとするも名前も書いておらず仕方なく中身を少し見る。そこに絢辻さんが登場する。ここで初めて絢辻さんの裏の顔を真正面から拝めることになる。流石、天下無敵の仮面優等生と謳われるだけあって裏の絢辻さんはこれまでに描かれた絢辻さんとは似ても似つかないサディストな性格となっています。先述したとおり分かりやすいほどの二面性ですね。さて、ここから彼女らの関係性は始まっていく訳です。絢辻さんは全てのことを計算づくでやっていたということになります。しかし、橘さんは教室の片付けなど小さいことで、誰も気づかないような事を誰のためでもなくやる人間だった。彼女には理解し難い価値観だ。このことから彼女は橘さんに興味を持つ。また、橘さんも絢辻さんの裏の顔を知ったとてあからさまに距離を取ったりすることなくむしろ距離を詰めていく。言うなれば橘さんは絢辻さんの本当の姿を真正面から見つめた初めての人間だったわけだ。彼女はそんな彼に惹かれ、ついには彼女の拠り所であったろう手帳を自ら燃やしてしまうまでに心が動き、大きく割愛するのだがそれぞれのendに向かっていくわけだ。スキエピソードにおいて、彼女の裏の顔は橘さんをクラスメイトに引き合いに出されたことにより怒りが頂点に達し、猫をかぶるのをやめるためクラスメイトに知れ渡ることになる。更にはそれによりクラスでも避けられる存在となってしまう。そんな存在となってしまっても橘さんがいる為、彼女は折れないしむしろどこ吹く風という風だったのが印象的だ。
もう何を言ってるのか分からなくなってきたのでそれぞれのendについて語らせていただく。そもそもendに行き着くまでの過程を語りきれるわけがなかったのだ。猛省。
・スキbest
このendでは絢辻さんとクリスマス会でデートをする。立ち入り禁止の教室で2人は手を取り合い踊り、クリスマスへの並々ならぬ絢辻さんの思いを聞き、そして壮大なクリスマスツリーを見て2人は晴れてカップルとなり、スタッフロールが流れます。
ちなみに、絢辻さんは一人称を使い分けています。普段の優等生の際の一人称である「私」、裏の絢辻さんの一人称である「あたし」、そして最後に現れるこの2人の絢辻さんに包み隠された本当の「わたし」。この「わたし」からの告白が本当に印象的なエピソードです。そんなスキbestのエピローグ。意外にもそれはクリスマス会の直後の話であり、橘さんが彼女に一緒に幸せになろうと伝えて終わる感動的なエンド……のように思われるが待ってほしい。そうなのだ。このendには大きな欠陥がある。それゆえ、このendは間違いなく幸せなendであるはずなのに本当に幸せなendなのかという疑問が湧いてしまうのだ。後述するが、ほかのエピローグでは彼女らの未来の話がなされる。しかし、このエピローグは未来とは言えない。むしろ延長線上のエピローグとなっている。つまりはこのend自体、絢辻さんと橘さん2人だけの世界に入り込むendとなっているのではないだろうか。これに関しては偉大な先人の考察を見て首を大きく縦に振った解釈なのだが、VITA版のアマガミPS2版のアマガミはパッケージのデザインが違う。どちらも絢辻さんが描かれているという点では同じなのだが描かれている姿が大きく違う。リメイク版とも言えるVITA版のパッケージイラストの絢辻さんは服を広げ、プレイヤーを2人だけの世界へ誘っているようにも見える。先述した、2人が手を取り合い誰もいない立ち入り禁止の校舎で踊る演出もそれを暗示している気さえしてくる。とはいえ、語る必要もなく2人は間違いなく幸せに過ごすだろう。周囲からは避けられ残りの高校生生活を過ごし、その後も共に過ごすだろう。とはいえその先の具体的な姿が見えない。そんなendとなっている。停滞とも言えるだろうか。会話イベントにおいてなされた絢辻さんのお互いが甘やかしあうだけの恋愛は嫌だという言葉がふと蘇ります。本当にこのendはベストか。人それぞれだろう。
・スキgoodエンド
二股をかけなければ見えないエンド。ちなみに二股もアマガミの一つのプレイスタイルであると分かっていますが筆者は個人的な理由により出来ません。御容赦を。そのため、概要だけとなりますがスタッフロールに入る前が違います。スキbestにおいては最初はあたしというものも言い直し、わたしという一人称で告白する絢辻さんですがスキgoodにおいてはこの「わたし」は現れません。「あたし」のまま告白します。そんなこのendのエピローグはスキbestとはかなり違う。2人が大学に進学し、共同生活を送っているエピローグである。二人の未来が垣間見えるエピローグだ。
・スキbad
動画を見ることすら個人的な理由により吐き気がおこり出来ませんでした。申し訳ございません。つまり二股をかけ、絢辻さんを選ばないルートです。当然「わたし」は現れないどころか「あたし」すら消えてしまい心に大きな穴を残す悲惨なend。
・ナカヨシend
スキの一つ下のナカヨシという関係で見られるendです。先述した周囲に裏の顔を知られるイベントが起こらず、周囲との関係を保ったまま橘さんにだけ「あたし」を知られた状態でのend。エピローグでは結婚し子供もいる2人の姿が描かれる。実際問題「わたし」の人格を抜きにした時1番幸せなのはナカヨシendだと思う。それゆえスキbestへの疑いが掻き立てられるわけだが。
最後に、スキbestのエピローグでの絢辻さんの内心を表す地の文への考察を少し。アマガミではヒロインとの関係性が1つ上がると【一方その頃】というシナリオが差し込まれ、ヒロインの内心を知ることが出来る。このエピソードにおける地の文はヒロインの内心での自問自答などであるためヒロインの声が当てられている。絢辻さんの一方その頃エピソードでは主人公の名前の部分は「あの人」と言っていた。しかし、スキbestのエピローグにおいて彼女の内心を表す地の文で主人公の名前の部分を「あなた」と発音している。地の文なのでもちろん内心での話である。橘さんには聞こえていないだろう。しかし、それでも彼女は「あなた」と発音する。個人的にこれは我々プレイヤーに向けた言葉であると感じた。そのため、彼女の内心を示す地の文であるにも関わらず彼女はそれを聞いている我々に向かって「あなた」と発音しているのではないだろうか。おわり。主観による妄言だ。

最後に。アマガミというゲームは恋愛シミュレーションゲームだということが要旨のようになってしまったが絢辻さんは本当に魅力的なキャラだ。今からでも遅くはない。まだアマガミに触れていないのなら触れよう。そして考察してほしいと思う。自分の納得する答えにたどりつけた時、また新たな面が見えてくると思う。自分もまだアマガミを完全にクリアしたわけではない。とはいえ個人的な問題により時間が取れないため後回しになりそうだ。本当に悲しい。だから、当面の間は絢辻さんの拠り所である自分でいたいなと思う。
絢辻さん。俺は本当のあなたを見つけられたでしょうか。あなたの心の支えとなれているでしょうか。そんな風になれているなら幸いです。

完全な蛇足。本当に薄っぺらくて申し訳ないのだが個人的に好きな曲である真壁瑞希の「Silent Joker」の歌詞と絢辻さんのエピソード全体で見た時に被るところがあって面白いなとも思った。彼女には笑われてしまうだろうが「月が美しい夜ですね」と言ってみたいものである。